令和5年春期ネットワークスペシャリスト(NW)試験の午後Ⅱ問2の解説をしていきます。
解答はIPAが公表している解答を引用しています。
解説には間違いが含まれる可能性があるため、その際は指摘していただけると幸いです。
設問1
a
解答:NS
空欄aのレコードには「ns.example.jp.」「ns.y-sha.example.lan.」というようにネームサーバ(DNSサーバ)が記載されているため、「NS」が入ります。
NSは、Name Serverの略です。
b
解答:MX
同様に、空欄bのレコードには「mail.example.cjp.」「mail.y-sha.example.lan.」というようにメールサーバが記載されているため、「MX」が入ります。
MXは、Mail Exchangerの略です。
c
解答:100.α.β.1
「会員企業の事務用品購入の担当者は、Webブラウザでhttps://ecsv.example.jp/を指定してECサーバにアクセスする。」とあるため、図2の項番1~6はインターネット経由の社外アクセス用のものであることが分かります。
そのため、表1からDNSのポート番号53と同じ行に記載されているグローバルIPアドレスの”100.α.β.1”が入ることが分かります。
d
解答:100.α.β.2
空欄cと同様に、表1から電子メールのプロトコルであるSMTPのポート番号25と同じ行記載されているグローバルIPアドレスの”100.α.β.3”が入ります。
e
解答:192.168.1.1
「運用担当者は、運用PCのWebブラウザでhttps://ecsv.y-sha.example.lan/を指定して、広域イーサ網経由でECサーバにアクセスする。」とあるため、図2の項番7~12は広域イーサ網経由の社内アクセス用のものであることが分かります。
そのため、表1からDNSのポート番号53と同じ行に記載されているプライベートIPアドレスの”192.168.1.1”が入ることが分かります。
f
解答:192.168.1.3
空欄eと同様に、表1から電子メールのプロトコルであるSMTPのポート番号25と同じ行に記載されているプライベートIPアドレスの”192.168.1.3”が入ることが分かります。
設問2
(1)
解答:コモン名とURLのドメインとが異なるから
「ECサーバに登録されているサーバ証明書は一つであり、マルチドメインに対応していない」という記述からECサーバのサーバ証明書で対応しているドメインは、”example.jp”のみであることが推測できます。
そのため、”https://ecsv.y-sha.example.lan/”でアクセスすると、サーバ証明書のコモン名とURLのドメインが異なることになり、エラーが表示されます。
(2)
解答:L3SW, FWz, L2SW
運用PCからECサーバまでに経由する機器はL3SW、FWz、L2SWになります。
個人的にはFQDNでアクセスしているため、名前解決のためにDNSサーバも経由するんじゃないかと思ったのですが、そうではないみたいです。(有識者の方教えていただけますと幸いです。)
設問3
(1)
解答:g)アップ
h)アウト
サーバの増強策には、サーバのスペックを上げるスケールアップとサーバの台数を増やすスケールアウトがあります。
「ECサイトを停止せずにECサーバの増強を行える」のは、スケールアウトです。
そのため、空欄gに「アップ」、空欄hに「アウト」は入ります。
(2)
解答:1台故障時にも、ECサイトの応答速度の低下を発生させないため
2台に増やしても1台故障すれば、現状と変わらない状態になってしまいます。
3台に増やすことで、1台故障しても残りの2台で負荷分散するため、応答速度を維持できます。
(3)
解答:i)100.α.β.2
j)192.168.1.2
k)192.168.1.4
(ⅰ)の通信の宛先IPアドレスは既設ECサーバのグローバルIPアドレスです。
そのため、空欄iには表1から”100.α.β.2″が入ることが分かります。
(ⅱ)では、宛先IPアドレスはFWzによってNAT変換されるため、空欄jには表1の変換後IPアドレスである”192.168.1.2″が入ります。
LBでソースNATを行う場合、空欄kには、LBのIPアドレスが入ります。
LBのIPアドレスは、図4から”192.168.1.4”であることが分かります。
設問4
(1)
解答:どの機器)LB
IPアドレスの呼称)仮想IPアドレス
「LBを利用して」とあるため、複数のECサーバをLBでロードバランシングする構成になります。よって、機器はLBです。
また、ここでいう特別なIPアドレスとは、LBが持つ仮想IPアドレスになります。
(2)
解答:(自身の)IPアドレス
既設ECサーバではホスト名をecsvからecsv1へ、IPアドレスを”192.168.1.2″から”192.168.1.5″へ変更する必要があります。
(3)
解答:FWz から LB に変更
FWzとの間にLBが挟まることになるため、FWzからLBへ変更する必要があります。
(4)
解答:ECサーバに、アクセス元PCのIPアドレスを通知するため
LBを経由した通信では、通常ECサーバはLBのIPアドレスを受け取ります。
しかし、X-Forwarded-Forフィールドを追加することで、アクセス元のIPアドレスをECサーバまで知らせる事ができるようになります。
(5)
解答:既設ECサーバにインストールされているサーバ証明書と秘密鍵のペアを、LBに移す。
LBによって冗長化された構成では、必ずしも既設ECサーバに通信が振られるわけではなくなります。
その代わり、必ずLBを経由するようになるため、既設ECサーバに設定されていたサーバ証明書と秘密鍵のペアをLBに移してあげれば良いということになります。
設問5
(1)
解答:TCPコネクションが再設定されるたびに、ポート番号が変わる可能性があるから
クライアント側のポート番号は、セッション確立時に自動的に振られるため、変わってしまう可能性があります。
(2)
解答:サーバからの応答に含まれるCookie中のセッションIDが、セッション管理テーブルに存在しない場合
LBは、セッションIDがセッション管理テーブルに存在する場合、対応する振り分け先のサーバに転送します。
対して、セッションIDが存在しない場合は、セッション管理テーブルに新しいレコードを作成してセッションIDと振り分け先のサーバを保持します。
(3)
解答:サービスが稼働しているかどうか検査しないから
レイヤー3及びレイヤー4のレベルでは、サーバが稼働していることは検知できても、サービスが稼働していることまでは検知することができません。
この手の問題は非常によく問われているため、この考え方は頭に入れておきましょう。
設問6
(1)
解答:アクセス元の購買担当者が所属している会員企業の情報
リダイレクト先のIdPを特定するためには、アクセス元の企業を特定する情報が必要になります。
(2)
解答:IdPの公開鍵証明書
ECサーバがIdPのデジタル署名を検証するためには、IdPの公開鍵証明書が必要になります。
公開鍵暗号方式の仕組みを理解していれば解ける問題です。
(3)
解答:IdPの鍵を所有していないから
PCはIdPの公開鍵を所有していないため、STを復号化することができません。
(4)
解答:①)信頼関係のあるIdPが生成したものであること
②)SAMLアサーションが改ざんされていないこと
公開鍵暗号方式によって検証できるのは、真正性と完全性です。
真正性とは通信の相手が正しいこと、完全性とは通信の内容が改ざんされていないことを指します。
これを今回のケースに当てはめた内容が記述できていれば正解になります。
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