令和5年春期ネットワークスペシャリスト(NW)試験の午後Ⅰ問3の解説をしていきます。
解答はIPAが公表している解答を引用しています。
解説には間違いが含まれる可能性があるため、その際は指摘していただけると幸いです。
設問1
a
解答:トライバンド
三つの周波数帯を同時に利用できることを「トライバンド」と言います。
シングル、デュアル、トライ、クアッド・・・という数え方に基づきます。
直前にある「二つの周波数帯によるデュアルバンドに加え」という文がヒントになってますね。
b
解答:アンテナ
MU-MIMOというのは、「Multi User-Multiple Input Multiple Output」の略であり、複数のアンテナがそれぞれ送受信を行うことで、無線LAN通信の高速化と安定化、複数端末の同時接続を実現する技術です。
よって、空欄には「アンテナ」が入ります。
c
解答:パスワード
WPA3では、誤ったパスワードによるログイン試行が一定回数続くと、ログインをブロックする機能が追加されています。これにより、文中にあるように辞書攻撃に対する耐性を強化しています。
よって、空欄には「パスワード」が入ります。前後の文章からも推測できる問題です。
d
解答:チャネルボンディング
チャネルを束ねることで帯域幅を倍にすることを「チャネルボンディング」と言います。
「ボンディング」には、ボンドという接着剤から連想できるように「結合」という意味があります。
e
解答:PoE++
PoE規格には、PoE、PoE+、PoE++の3種類があります。
PoE++にはタイプ3とタイプ4という分類があり、タイプ3では60W、タイプ4では100Wの電力を供給することが可能です。
よって、空欄には「PoE++」が入ります。
f
解答:マルチギガビットイーサネット
2.5GBASE-Tや5GBASE-Tのように、2.5Gbpsや5Gbpsの通信速度を持つネットワーク規格の総称を「マルチギガビットイーサネット」と言います。
g
解答:スタック
複数のネットワークスイッチを連結して論理的に一台とすることを「スタック接続」と言います。
ワードを知らなければ回答が難しい問題だと思います。
h
解答:DHCPリレーエージェント
DHCPではブロードキャスト通信を使用するため、DHCPサーバとDHCPクライアントは同一のネットワーク上にいる必要があります。これを異なるネットワーク上でも実現するのが「DHCPリレーエージェント」です。
基幹L3SWに設定しようとしているところがポイントです。
設問2
(1)
解答:周波数帯①)W52/W53
周波数帯②)W56
利点)より多くのWLAN端末が安定して通信できる。
周波数帯については高度な知識が必要な問題だと思います。
トライバンドでは、2.4GHz帯、5GHz帯(W52/W53)、5GHz帯(W56)の3つの周波数帯を同時に使用できます。利点としては、接続端末の台数が増えても通信品質を保ちやすいことが挙げられます。
(2)
解答:周波数帯①)W53
周波数帯②)W56
動作)検知したチャネルの電波を停止し、他のチャネルに遷移して再開する。
影響)APとの接続断や通信断が不定期に発生する。
気象観測レーダーや船舶用レーダーと干渉する周波数帯は、W52とW56になります。
干渉した場合は気象観測レーダーや船舶用レーダーが優先されるため、通信が切断され、他のチャネルに切り替える動作をします。
設問3
(1)
解答:800
「1教室当たり50人分のノートPCを無線LANに接続し、4K UHDTV画質(1時間当たり7.2Gバイト)の動画を同時に再生できること。」とあるため、まず1時間当たり7.2Gバイトの通信をMbpsに変換すると、
7.2 x 1000 x 8 / 3600 = 16Mbps
(x 1000 → GからMへの変換、x 8 → バイトからビットへの変換、/ 3600 → 時間から秒への変換)
よって、50人全員が同時に動画を再生した場合、
16 x 50 = 800Mbps
となり、最大トラフィック量は800Mbpsであることが分かります。
(2)
解答:区間)(ⅱ)
理由)平常時にリンク本数分の帯域を同時に利用できるから
(1)で計算した内容から、全てのフロアの全ての教室で50人全員が同時に動画を再生した場合、
800 x 3 x 5 / 1000 = 12Gbps
となるため、12Gbpsの帯域が必要になります。
基幹L3SWをVRRPで冗長化している場合、Master側の基幹L3SWに通信が偏るため、(ⅱ)で10GbEリンクがボトルネックになります。
対して、リンクアグリゲーションを利用した場合、10GbE x リンク本数分の帯域を論理的に確保することができるため、上記の問題を解消することができます。
(3)
解答:機器①)AP
機器②)フロアL2SW
機器③)動画コンテンツサーバ
作業ミス)ループ状態になるような誤接続や設定ミス
「フロアL2SWとAPはシングル構成とし、A専門学校の職員が保守を行う前提で、予備機を配備し保守手順書を準備すること」
「なお、動画コンテンツはA専門学校が保有する計4台のサーバ(学年ごとに2台ずつ)で提供し、A専門学校がサーバの保守を行っている。」
という文章から、A専門学校の職員が故障交換作業と設定復旧作業を行う対象の機器は、AP、フロアL2SW、動画コンテンツサーバの3種類であることが分かります。
また、ブロードキャストストームはループによって発生するため、職員がループ状態になるような作業ミスをしてしまった際に発生します。
これは最後の問題なので複雑に考えてしまいそうなところ、かなりシンプルな解答というトラップですね笑
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