「基本情報技術者を取得する意味の有無」という議題は、しばしばSNSやエンジニアの会話を盛り上げています。
もちろん、取得する意味が薄い人はいると思います。
しかし、多くの方にとっては意味のある資格だということを始めに言っておきます。
そもそも、本当に基本情報技術者試験が万人にとって意味のない資格なら、これほどまでに広く浸透していません。
この記事を読んで、ご自身にとって基本情報技術者を取得する意味があるのか。
はたまたあまり意味がない資格なのかを見極める一助になれば幸いです。
基本情報技術者が意味ないと言われている理由
まず、基本情報技術者を取得する意味がないと言われている理由をおさらいしてみましょう。
直接スキルを証明するものではない
基本情報技術者試験の受験対象者像として、IPAは以下のように掲げています。
高度IT人材となるために必要な基本的知識・技能をもち、実践的な活用能力を身に付けた者
ここには「基礎的知識・技能」とありますが、実際にはかなり「知識」に偏った問題が多いです。
これは試験問題を一通り眺めてみるとよく分かります。
このことから、一部では「スキルが身につくわけでもなければスキルを証明するものでもないため、意味がない」と言われがちです。
確かに、基本情報技術者を取得したからといってエンジニアとして何かできることの証明にはなりません。
しかし、「知識」と「技術」は全くの別物であり、どちらかが欠けていて良いものではありません。
基本情報技術者の取得を志す方は、IT業界未経験者または数年以内の方が多いと思います。
しかし、打ち合わせで登場する基本的なIT用語すら分からないと仕事になりません。
少なくとも「話の通じる人」になるためにも、基本情報技術者試験の学習を通じて知識武装しておくことは意味があると考えています。
外資系企業からは評価されない
これは半分事実だと思います。
完全に評価されないわけではないですが、日系企業と比較すると評価は低めだと思っています。
IT系の資格には世界的に知名度のあるものと、国内でしか認知されないものに分けられます。
基本情報技術者は後者に当てはまります。
日本の機関が取り仕切る資格ですからね。
もちろん、評価するのは日本支社の日本人でしょうから一定の効果はあると思いますが、世界的なベンダー資格の方が重視される印象があります。
応用情報技術者を取得した方が早い
これもよく言われていますが、これに関しては人によるとしか言えません。
しかもかなり限定的です。
IT業界で2,3年の経験があり、基本情報技術者をまだ取得していない方はこれに該当する可能性があります。
確実に言えることは、IT未経験の方は基本情報技術者から取得するべきだということです。
実際に基本情報技術者と応用情報技術者の試験問題を見比べてみると分かるのですが、やっぱり応用のほうがちゃんと難易度が高くなっています。
何事も基礎固めは非常に重要です。
IT未経験の方は、しっかりと「基本」を習得してからステップアップしていくことをオススメします。
その後の理解度も段違いです。
基本情報技術者を取得する意味
基本情報技術者が意味ないと言われている理由には以上のようなものがあることを紹介しました。
(ほとんどそんなことないよという内容で紹介しましたが…。)
ここからは、これらを踏まえて基本情報技術者を取得する意味・メリットについて紹介していきます。
新卒や未経験からの転職では明確な差別化になる
新卒時の就職活動やIT未経験者の転職活動においては、基本情報技術者を取得していることは、そうでない方と明確な差別化になります。
個人的な感覚としては、学歴と同じですね。
同等の能力、将来性と判断された2人のどちらを選ぶかという状況の時の判断材料になります。
基本情報技術者を取得している人は基本的な用語や知識を理解しているので、教育しやすいんですよね。
採用側も人間なので、新卒や未経験者を育てていくのなら、そりゃ教育しやすい人の方がいいです。
元も子もないことを言うと、そういう意味ではコミュニケーション能力が最重要です。
かと言って、コミュニケーション能力なんてちょっとやそっとで伸びるものでもありません。
しかし、基本情報技術者は違います。
勉強さえすれば確実に手に入る差別化ポイントになります。
幅広い基本知識が身につく
前述したとおり、基本情報技術者試験はかなり「知識」に偏った試験です。
それも範囲がめちゃくちゃ広い。
特に、プロジェクトマネジメントやシステム監査の知識は、若手の業務では意識しなければなかなか習得できない知識です。
私自身も基本情報技術者試験の勉強を始めるまでは、職場の上司が何を言っているのかほとんど理解できませんでした。
しかし、マネジメント系の知識が身についてからは、上司が言っていることがよく理解できるようになりました。
実務では、上の人間は基本的にマネジメント的な視点で話をしてきますからね。
上司の見ている景色が少しだけ私にも見えるようになりました。
また、机上の話だけでなく、上司が何を求めているのかをしっかりと理解しながら業務を行うことは実務ではかなり重要なことです。
この例に限らず、幅広い知識を習得することで、IT守備範囲を広げておくことができ、様々な場面で障壁がなくなると思います。
今後に向けて学習習慣が身につく
実はこれが一番のメリットかもしれません。
ITエンジニアの世界では、日々移り変わる技術に着いて行くだけのインプットをし続ける必要があります。
ITエンジニアである限り、学習をし続けなければなりません。
そのための足掛かりとして、基本情報技術者試験はうまく作用します。
基本情報技術者試験に合格するには100〜200時間の学習が必要とされています。
毎日2時間ずつ学習したとしても、50〜100日ほどかかります。
ロンドン大学の研究によると、人が新しい習慣を身につけるには平均して66日かかるという結果が得られたそうです。
今後ITエンジニアとして活躍して行くためにも、基本情報技術者試験に限らず、まずは資格学習を通して学習習慣を身につけてしまうことをオススメします。
まとめ
今回は、基本情報技術者が取得する意味がないと言われる代表的な理由と、それでも取得するべきメリットについて紹介しました。
取得する意味がないと言われている主な理由と私の見解は以下の通りです。
- 直接スキルを証明するものではない
→試験内容が知識に偏っているため言われがちだが、最低限「話の通じる人」になるためにも知識は必要 - 外資系企業からは評価されない
→半分事実。評価されないことはないが、ベンダー資格の方が評価される傾向が強い。 - 応用情報技術者を取得した方が早い
→人による。未経験者は確実に基礎から習得するべき。
取得するメリットは以下の通りです。
- 新卒や未経験からの転職では明確な差別化になる
→実績がないため、学歴と同じで書類上では明確な強みになる。 - 幅広い基本知識が身につく
→上司や先輩が何を言っているのか分かるようになり、会話の守備範囲が広がる。 - 今後に向けて学習習慣が身につく
→ITエンジニアとして活躍し続けるためには、継続的な学習が必要。
いかがだったでしょうか。
基本情報技術者試験をテーマに記事を書いている身としては、取得する気になっていただければ大変嬉しいですが、重要なのは「自分にとって本当に取得する意味やメリットがあるのか」を見極めることです。
本記事が皆さんがその判断をする際の一助になれば幸いです。
今回は以上となります。
最後まで目を通していただきありがとうございます。
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