【CBT方式で簡単になった?】令和3年1月度の基本情報技術者試験の合格率について

基本情報技術者試験

先日、基本情報技術者試験(FE)の令和3年1月度における受験者数と合格者数が発表されました。
現在はCBT方式で実施されているため、1ヶ月ごとの数字になります。

発表された受験者数は8,519名、合格者数は4,934名でした。
合格率に換算すると、57.9%になります。

参考に、過去に実施された基本情報技術者試験5回分の合格率は以下の通りです。

開催期合格率
平成29年秋期21.8%
平成30年春期28.9%
平成30年秋期22.9%
平成31年春期22.2%
令和元年秋期28.5%

これまでの基本情報技術者試験の合格率は、25%前後で推移していました。
これらと比較すると、今回の57.9%という値は異常な高さと言えます。

ちなみに、過去の情報処理技術者試験の統計情報はIPAの下記ページに記載されています。
興味がある方は眺めてみてください。

統計情報(応用情報技術者試験、高度試験、情報処理安全確保支援士試験) | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
情報処理推進機構(IPA)の「統計情報(応用情報技術者試験、高度試験、情報処理安全確保支援士試験)」に関する情報です。

CBT方式となって簡単になったのか

前述の通り、「令和3年1月」の合格率は57.9%となりました。
25%前後で推移していた例年の2倍以上の値になります。

この発表を受けて「CBT方式になって簡単になった」等の意見が散見されました。

しかし、結論から言うとCBT方式になって基本情報技術者試験が簡単になったわけではありません。

試験の難易度は、従来のペーパー試験方式のときと同等です。
ただし、ペーパー試験方式とCBT方式とではいくつか決定的な違いがあります。

CBT方式の基本情報技術者試験についての所感は以下の記事で書いているので、良かったら参考にしてください。

合格率が急増した要因

従来のペーパー試験方式とCBT方式で難易度に変わりはないと述べました。
では「なぜここまで合格率が急増したのか」という疑問について、分析してみました。

度重なる試験延期

基本情報技術者試験は、「令和元年秋期」に実施されて以降、新型コロナウイルスによる影響で「令和2年春期」「令和2年秋期」の試験は延期となってしまいました。

つまり、今回の「令和3年1月」の試験は、前回試験から1年以上もの間が空いて実施された試験です。
そのため、「令和元年秋季」で残念ながら落ちてしまった方や「令和2年春期」に受験予定だった方にとっては、十分すぎるほどの試験対策期間がありました。

また、CBT方式で実施されている今回は、1月~3月の任意の日付で受験することが可能となっています。
そのため、1月に試験を受けようと思うような方々は、その中でも特に試験対策が万全で「早く受験したい」と思っている方が必然的に多くなります。

これが今回の57.9%という合格率になった一番の要因だと思います。

午前と午後を別日に受験可能

もう一つの要因が、CBT方式で実施されている今回は、午前試験と午後試験を別日に設定して受験をすることが可能になったことです。

これにより、午前試験をさっさと突破して、午後試験対策に専念する学習期間を設けることが出来ます。
基本情報技術者試験の鬼門は午後試験ですので、午前試験のことを一切考えずに午後試験対策のみに注力できる学習期間を設けることが出来るようになったことは合格率の上昇に繋がっていると考えています。

また、従来の基本情報技術者試験は、一日で各150分ずつの午前試験と午後試験を受験する必要がある大変ハードな試験でした。
午後試験のときにはもうガソリン切れしてしまい、集中力が持たないなんてことも少なくなかったと思います。

この点でも、午前と午後を別日に受験可能になったことは、各試験に最大のパフォーマンスを発揮できるようになり、合格率の上昇に繋がったと言えるでしょう。

午後試験の易化

実は基本情報技術者の午後試験は、2020年(令和2年)から改定が決まっていました。
しかし、新型コロナウイルスの影響により2020年は試験を実施できなかったため、実質2021年の試験再開以降から試験内容が変わっています。

詳細は下記をご覧ください。
https://www.ipa.go.jp/about/press/20190124.html

簡単にまとめると、選択問題の回答数が4問から2問に減少し、必須問題の配点が上昇しました。
時間との勝負でもあった従来の午後試験と比較すると、易化したと言えるでしょう。

これに加えて、前述したように「午前と午後を別日に受けられるようになった」ことと「新規の問題が少ない可能性」を鑑みると、総合的にかなり受験者にとってはプラスの要因が重なっていると言うことができます。

まとめ

以上のような要因があり、「令和3年1月」の合格率が急増したと考えられます。
やっぱり一番大きいのは、延期が繰り返されている間にばっちり勉強していた自信満々の方が多く受けていたからだと思います。

繰り返しとなりますが、CBT方式となったことで試験の難易度が下がったわけではありません。
合格率が急増したからと言って、試験対策を怠らずにしっかりと勉強して試験に臨むようにしましょう。

今後、2月や3月に実施された試験の合格率がどう推移するのかも気になりますね。
おそらく徐々に合格率が低下するような結果になるのではないでしょうか。
もし、また予想外の結果となったら要因を分析してみようと思います。

2021年3月25日に「令和3年2月」実施分の合格発表がありました。
下記の記事で合格率について書きましたので読んでいただけると嬉しいです。

基本情報技術者試験の学習方法は以下の記事で紹介しています。
ぜひご参考にしていただけると幸いです。

以上となります。
最後まで目を通して頂きありがとうございます。

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