先日、IPAから今後の基本情報技術者試験に関する変更内容が公表されました。
本変更内容は2023年の4月から履行されるとのことです。
情報処理技術者試験における出題範囲・シラバス等の変更内容の公表について(基本情報技術者試験、情報セキュリティマネジメント試験の通年試験化)
2021年の1月からCBT方式化していた基本情報技術者試験ですが、今回の変更でまたガラリと内容が変わることになりそうなので要点を解説していきます。
同時に情報セキュリティマネジメント試験についても変更が発表されていますが、本記事では基本情報技術者試験に焦点を絞って解説いたします。
追記(2022/11)
IPAより、令和5年度の試験について新たな発表がありました。
主な注目点は以下の2点です。
・引き続きCBT方式で実施
・科目A試験と科目B試験は同日での受験
詳細は以下のリンクをご参照ください。
令和5年度 情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験の実施予定について
変更内容まとめ
まず、なにが変更されるのかをざっくりと紹介していきます。
変更点をまとめると以下の通りです。
- 実施方式
随時受験可能になる - 採点方式
IRT方式へ変更 - 出題形式
試験区分を科目A、科目Bへ変更
・科目A:90分 60問(全問必答)
・科目B:100分 20問(全問必答) - 出題範囲
・科目A:従来の午前試験と同様
・科目B:「情報セキュリティ」と「データ構造及びアルゴリズム(擬似言語)」中心
プログラミング言語は普遍的・本質的なプログラミング的思考力を問う擬似言語に統一
以上のように従来の試験からガッツリ変更されることとなりました。
特に午後試験(科目B)に関しては全くの別物と言っても良いでしょう。
では、それぞれの変更点について個別にみていきましょう。
随時受験可能になる
随時受験可能になるというのは、通年で開催されており、いつでも受験可能になるということです。
現在は上期と下期で分けられ、それぞれ2ヶ月程度の開催期間となっています。
それでも冷静に考えると一年の三分の一は開催期間ということになるのですが、いつでも受けられるとなるとまた違いますよね。
また、現在は上期と下期でそれぞれ1回ずつしか受験できないという制約があったのですが、これも無くなり、年に何回でも受験できるようになるのだと思います。
短い期間にトライ&エラーで何度でも挑戦できるのはありがたいです。
再受験規定(リテイクポリシー)については、令和5年度試験申し込み受付開始前に改めて公表されるようです。
どういったルールとなるのか気になりますね。
採点方式はIRT方式へ
IRT方式とは「Item Response Theory」の略で、実はITパスポートもこの採点方式です。
一問何点というような明確な配点を設けず、問題の難易度等により柔軟に得点を変える採点方式となります。
基本情報技術者試験はCBT方式で実施されているため、当然受験者によって問題が異なります。
正答率が低い問題が多く含まれる場合もあると思います。
そのような問題の組み合わせによる不公平さをなくす採点方式がIRT方式ということですね。
午前試験は科目A試験へ
従来の午前試験は科目A試験となります。
CBT方式となってから午前/午後という概念ではなくなっていたため、この名称変更は当然と言えば当然ですね。
午前試験(旧) | 科目A試験(新) | |
試験時間 | 150分 | 90分 |
出題数 | 80問 | 60問 |
回答数 | 80問 | 60問 |
試験時間は150分から90分に短縮され、問題数は80問から60問へ減少します。
出題範囲は従来の午前問題と同様です。
問題の難易度はおそらく据え置きかと思うので、一問あたりの回答時間が少なくなっており、時間的には少し厳しくなってますね。
午前試験に関しては、もともと時間が足りない試験ではないため、しっかりと対策をしていれば特に問題はないと思います。
午後試験は科目B試験へ
午後試験は科目B試験となります。
こちらは午前試験とは違い、かなり変更されます。
午後試験(旧) | 科目B試験(新) | |
試験時間 | 150分 | 100分 |
出題数 | 11問 | 20問 |
回答数 | 5問 | 20問 |
試験問題は150分から100分に短縮されますが、試験問題は20問に増加しています。
もちろん従来の問題形式とは異なり、内容が大幅に変更されています。
サンプル問題が公開されているので、以下のリンクをご覧ください。
従来の数ページに渡るような長文問題ではなく、問題が簡素化されている印象があります。
また、試験範囲も変更されています。
これまでかなり範囲の広かった午後試験ですが、「情報セキュリティ」と「データ構造及びアルゴリズム(擬似言語)」の二分野から中心に出題されるようになります。
さらに、C/Java/Python/アセンブラ言語/表計算ソフトという個別言語は廃止され、擬似言語に統一されます。
先ほどのサンプル問題の最後に疑似言語の記述形式が載っているため、一読することをオススメします。
IBT方式について
IBT(Internet-Based Testing)方式とは、インターネットを経由して受験する試験の総称で、受験者自身の端末で受験することが可能な試験方式です。
IPAは現在、このIBT方式の基本情報技術者試験の実証実験を行っておりますが、令和5年度の試験についてはこれを適用せず、CBT方式で実施することを発表いたしました。
IBT方式の適用時期については未発表となっており、今後に期待ですね。
試験難易度は下がるのか
気になるのは、この変更によって基本情報技術者試験の難易度が下がるのかという点です。
ここについて、私個人としては難易度は下がるのではないかと考えています。
基本情報技術者試験の鬼門はなんといっても午後試験であり、午前試験は余裕をもって合格点に達していても、午後試験は突破できないという人は多いです。
その午後試験が、長文問題ではなくなるというだけで難易度は落ちると思います。
また、試験範囲が情報セキュリティとアルゴリズム中心になるというのも易化といっていいと思います。
アルゴリズムに苦手意識を持っている方は多いと思いますが、あれは長文のややこしさがあってこそですからね。
サンプル問題を見る限りは簡単になっています。
午前問題は一問あたりの回答時間が縮小したといっても、大きな問題とはならないと思います。
以上のことから、トータルで考えると今回の変更によって基本情報技術者試験の難易度は下がると言えるのではないかと思います。
IPAとしては、IT系職種向けの入門資格としては難しめの印象のある基本情報技術者試験の難易度を下げたい意図があるのではないかと個人的には思っています。
まとめ
今回は、2023年4月から実施される基本情報技術者試験の変更点について解説しました。
全体として基本情報技術者試験の難易度は下がる変更なのではないかと思います。
ただ、通年化することによる受けやすさから、合格率は下降する可能性がありますね。
これに関しては蓋を開けてみなければ分からないので、一年後を楽しみに待ちましょう。
現在、基本情報技術者を学習中の方にとってはいつ受けるかタイミングが悩ましくなる変更かと思います。
とはいってもまだ一年あるので、今年の下期へ向けて学習を続けることをオススメします。
旧試験の勉強は新試験でも決して無駄にはなりません。
どちらの試験を受けるにしても、しっかりと合格できるよう準備しておきましょう。
今回は以上です。
最後まで目を通して頂きありがとうございます。
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